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それほどまでに、あの暁という女価値があるのか――)
「そこのあなた、私と一緒にこの台湾の夜景を盗んでみませんか?」
今度は長いブロンドを持った美女にナンパをしている。
(それに11、なかなかに厄介だ。
確か情報によるとあいつは人間嘘発見機と聞く。
あいつの質問を聞くだけで、発言が嘘か本当かたちどころにばれてしまう。
あいつとはあまり関わらないようにしよう)
僕は耕助を置いて足早にタクシー乗り場へ向かった。
夜間ということもありタクシー乗り場はさほど混んではいなかった。
旧型のタクシーが何台もアイドリングをしたまま停車しており、湿気に排気ガスのむっとするような不快な臭いが混じりあい、まるでアスファルトでも燃やしているのではないのかという錯覚を生みだす。
さほど苦労もしないでタクシーを捕まえ、乗り込もうとした時。
「ストップ、ストップ」
慌てた様子で耕助が走ってきた。
耕助の顔には数えられるだけで4つの手形が見える。
さらに耕助の後ろから7人の女が鬼の形相で追いかけてくる。
耕助は水泳の飛び込みをするようにタクシーへダイブした。
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