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タイペイ市内
時刻は夜の11時をまわったところだ。
台湾名物の夜店はピークの時間帯を過ぎ、それなりに落ち着いている。
しかし、ネオンの光はその勢いを弱めることを知らずに、むしろ深夜に向けてより一層強く光り輝く。
路地裏では娼婦が客引きを始めていた。
定秋はホテルを抜け出し夜の繁華街をさまよっている。
酔っ払いが千鳥足で歩き、ホストやホステスが露地で声を上げ、奇抜なファッションをした若者が通りを歩いて行く。
(指令書ではこの辺りで僕の作戦プランを記録したSDカードを回収するはず)
定秋は指令書に載っていた女の特徴を探す。
(ポニーテールのブラウンに、ニャイアンツの野球帽をした女。
身長は160センチ、20代後半)
「一人で台湾美人ナンパなんてずるいじゃないですか?」
定秋の背後からいきなり耕助が顔を出した。
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