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闇夜の中、月明かりが差し込む馬屋に男が一人、壁に凭れかかって立っていた。
そのすぐ横には、馬達が同じような漆黒のシルエットとなって時折動いている。
ぶるるっ、と小さないななきがひんやりとした馬屋に聞こえた。
男は鳴いた馬に寄っていき、鼻面をゆっくりと撫でた。
「大丈夫さ。お前たちの邪魔はさせないよ」
馬達は黙ったまま、暗闇に佇んでいる。
空を流れる雲が、次第に月を隠していっていた。
馬屋に差し込む光が段々と細くなっていき、やがて室内は何も見えない闇へと変わっていった。
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