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廊下で部屋の前に控えていたミシュアを連れ、フレデリカは王城内の図書館へと向かっていた。
広い廊下を抜け、背の倍もあろうかという図書室への扉を開ける。
大きな軋みの音と同時に、天井の高い書棚のホールへと出た。
独特の古紙の匂いが感じられる。
「これはフレデリカ姫様、ミシュア様。お久しゅうございます」
挨拶と共に書棚の奥から出てきたのは、人の形をした人工機械だった。
頭からつま先まで、銀色に光る金属に覆われたからくり人形が、会釈と共に2人を出迎える。
「何をお探しでございますか?よろしければ私にお申し付けください」
機械の司書は恭しくお辞儀する。
その仕草はまるで人間と寸分変わらぬように見えた。
「エクリスタについて知りたい。頼む」
「エクリスタ――少数民族ですね」
承りました、と答えた機械は、すぐに本の列の中へ姿を消した。
しばらくして、数冊の本を抱えて戻ってくる。
差し出された古めかしい蔵書を、フレデリカはぱらりとめくった。
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