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『叶うといいわね』
『紗重も』
沸き上がる嫉妬心を押さえながら私は笑った
『八重?どこ行くの?』
『えっ少し出掛けてくるわ…』
『なら私も』
当たり前のように私を連れていってくれると思ったのに
『ごめん…一人で行きたいの』
『え?』
『本当に紗重ごめんなさい。でも』
『分かったわ…行ってらっしゃい』
『ありがとう!行ってくるわね』
『気をつけてね…』
行かないで…私を置いてかないで!八重!八重…私に隠し事をするようになった。
八重…
『ただいま…ようやく出来たの』
朝早くでて帰ってきたのはもう夜で
『お帰りなさい!心配したよ。怪我とか平気?』
『大丈夫…はい!紗重』
『え?』
お花の冠に指輪お花のネックレス
『紗重ここのとこ難しい顔してたから…だから何か出来たらって』
『八重…ありがとう』
『うん』
嬉しかった…嬉しかったのに…予感がしていた。
八重は私を…置いていくと
…嫌だ…怖くて…声にならない悲鳴をあげる
ずっとずっとずっと一緒にいよ?
私を…私を置いてかないで
八重
逃げていく村の人たち…追いかけながら私はふと思う
やっぱりね…やっぱり八重は私を置いていったのね。
でも待ってる。いつか戻ってきてくれる。だって約束したもの。ずっと…ずっと一緒だって…ねぇ…八重?
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