一章

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そこは暗い闇と静けさが占める。 「男前が台無しだな、古高。吐けば楽になるぜ」 「ぐっ…うぅ」 古高の呻き声が響く。 小屋には土方と拷問のために吊された古高しかいない。 「最初の意気はどうした?」 古高の顔に白煙を吐いた。 唇を噛みすぎて赤い血が滴り落ちる。 「捕まっちまったら誰も助けに来ねえ。それぐらい分かんだろ?前ら、何するつもりだったんだ?素直に吐けよ。そんで、皆道連れにしちまえ」 土方がにやりといやらしく笑う。 古高の性格は、仲間を切り捨てた時に分かった。 本当の仲間であっても捨てるだろうと土方は踏んだ。 こいつは自分が助かるために何でも捨てる。 すると古高は案の定、覚悟を決めたかのように切れた唇を動かし始めた。 掠れた小さな声で悔しそうに…
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