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男は久しぶりに新選組の地を踏んだ。
少し茶色く、癖の有る髪を揺らし、十代後半とも見受けられる童顔を真直ぐ前に見据えながら。
そして大きく伸びをした。
「たっだいまー」
のんびりとした声が、新選組の頓所に響き渡る。
男の声を聞きひょっこり顔を出し、ほころばす者は多い。
男は迷わず台所を目指した。
――まずは腹ごしらえしなきゃな
るんるんで廊下を歩いていたが、新選組に居るはずのない姿に目を付けた。
新選組に女は居ない…はず。
だが一生懸命床を拭いている姿が可愛らしい。
――って女の子!?なんで!どおして!!
あの鬼の副長が許すわけが無い。
女の後ろに近付く。
一つにまとめられた長い黒髪が床を拭く度に揺れている。
――とりあえず…声掛けるか?
「あのさー」
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