一章

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「あーあ。俺の周りって普通の女いないよな」 「知らねえよ。わざわざ俺んとこ来て言う言葉か?」 「うん。左之、女っ気ないし。たまには聞きたいでしょ?」 「聞きたくねえな。人の失恋話なんて」 藤堂はむっと頬を膨らませた。 「失恋じゃない!失礼な」 藤堂が次に向かったのは道場だった。 お昼時に近付くにつれて、みつと歩が忙しなく台所を行き来し、構ってくれなくなった。 それをつまらなく思った藤堂は原田を探した。 そして辿り着いた場所が道場。 今は槍の稽古をしている原田を胡座をかきながら見ている。 「此所も男ばっかだし。つまんない」 「暇してんなら稽古にでも付き合えよ」 「やだね。野郎となんかとやりたくない。あっ、みっちゃんとだったら良いなぁ。刀扱えるらしいし」 「みっちゃんは忙しいんだよ」 「知ってるよ。ついでに忍だって事も」
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