一章

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そして藤堂はゆっくりと語り出した。 「怖いんだ。死んでしまうんじゃないかとか…そう言うの考える事がさ」 思い出したのは、本当に愛した大切な人が死んでしまった時の事。 「女好き、女好きって言われるけど、俺にも本当に好きな人がいたんだ。でも、死んじゃった」 顔をまたうずめた。 声が震えているのが分る。 「何処の馬の骨か知らない男に斬られて、俺の目の前で血吹いて死んだんだ。彼女はずっと最後まで俺のせいじゃないって言ってた」 ――でも、あれは… 「あれは俺のせいなんだ。俺が、あの人を愛したから…だから」 死んだ それを受け入れたくない 「それから彼女と似た人を見つけては声掛けて、でも本人にはなれないから、捨てて…。いけないって分かってるのに、それの繰り返し」 そこから女好き藤堂平助が生まれた。 「好きだった」 ぎゅっと自分の身体を抱いた時、横に気配がした。 みつが藤堂の横に座ったのだ。
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