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そして藤堂はゆっくりと語り出した。
「怖いんだ。死んでしまうんじゃないかとか…そう言うの考える事がさ」
思い出したのは、本当に愛した大切な人が死んでしまった時の事。
「女好き、女好きって言われるけど、俺にも本当に好きな人がいたんだ。でも、死んじゃった」
顔をまたうずめた。
声が震えているのが分る。
「何処の馬の骨か知らない男に斬られて、俺の目の前で血吹いて死んだんだ。彼女はずっと最後まで俺のせいじゃないって言ってた」
――でも、あれは…
「あれは俺のせいなんだ。俺が、あの人を愛したから…だから」
死んだ
それを受け入れたくない
「それから彼女と似た人を見つけては声掛けて、でも本人にはなれないから、捨てて…。いけないって分かってるのに、それの繰り返し」
そこから女好き藤堂平助が生まれた。
「好きだった」
ぎゅっと自分の身体を抱いた時、横に気配がした。
みつが藤堂の横に座ったのだ。
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