一章

16/20
前へ
/463ページ
次へ
「馬鹿でしょ?笑ってよ」 顔をあげずに笑った。 「藤堂さんは、本当にその方の事を愛していたんですね。」 綺麗な鈴の様な声が耳に響いた。 その言葉を聞いて心が熱くなる。 「素敵じゃないですか。愛されていた方は幸せですね。亡くなられても、こんなに想われているんですから」 藤堂はゆっくりと顔を上げ、みつを見た。 「忘れてはいけないんです。愛した人の事を…それに、つまんないじゃないですか。好きな人を想い、好きな人のために何かをしないと」 と言ってにっこり笑った。 「まぁ、私が言っても説得力ありませんね」 苦笑いしたみつを藤堂は抱き締めた。 「ありがとう。なんだかすっきりした」 ――人ってこんなにも落ち着くんだね 「藤堂さんはとても明るくて、面白い人です」
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4989人が本棚に入れています
本棚に追加