一章

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「また来たのかよ。俺はもう戻るぜ」 原田は顔を渋らせ、槍を棚に立て掛けようとした。 「手合わせ、してやるよ」 目を丸くした。 「…珍しいな。自分から言って来るなんて…何か変なもん食ったんじゃねえか?」 「ちょっと、俺はお前みたいに拾い食いなんてしないの」 「俺だって拾い食いなんてしねえよ!!」 藤堂はくすりと笑った。 ――弱味なんて見せれないよ みつの言った言葉を思い返す。 弱いところを見せてしまったら、いつものようには接してくれないだろう。 それはどうしても嫌だ。 原田も永倉も優し過ぎる。 みつと同じように… ――このままで良いんだ 原田がいて、永倉がいて、沖田が土方が近藤が、皆がいる。 彼女と引き換えに、沢山の大切な仲間ができた。
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