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「「げっ、土方副長」」
背後を振り返ると、土方が仁王立ちしていた。
しかも鬼の形相で。
「斎藤君のとこが駄目なら、次は彼女のとこかい。まったくお前等は…一度灸を添えてやらねえとな」
二人は蛇に睨まれた蛙状態だ。
「こここれには深い理由がありまして…」
「幽霊が…」
「そう!幽霊が!ね、左之っ」
「おおう!」
慌てふためく二人をよそに、土方は深い溜め息をついた。
「幽霊の一つや二つ、出たって可笑しくねえだろ。ここは寺だぜ。神社みたいに神さん祀ってる訳じゃねえ」
土方の言ったことは的を射っている。
寺は死者の魂を弔う所。
この世に取り残された魂があってもおかしくない。
「早く寝やがれ。もうお日さんが、そこまで来てらぁ」
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