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「で、今夜の収穫はどうだったんですか?」
藤堂の言い方は実に意地悪だ。
みつの心を分かっていない。
土方がどんな女と夜をともにしたかなんて知りたくもない。
「あのなぁ、そんな言い方するもんじゃねぇよ」
子犬の様に瞳を輝かせる藤堂を、土方はしっしと払ってみせた。
「じゃぁお前はおんぼろじじぃと寝たいか?俺はごめんだ」
「おんぼろ?」
藤堂の表情がにやけ顔から変わった。
「今夜の相手だ。一晩中飲み相手にされた俺の気持ちも考えろ」
まったく、と土方は嫌そうな顔をした。
「なぁんだ。毎晩毎夜、女の人をとっかえひっかえやってんのかと思ったのに。案外堅いんですね」
その言葉に少しだけ痛みが和らいだ気がした。
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