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憎き恋敵(藤堂が勝手に決めつけた)の所を訪ねるのはしゃくに障るが、あの人のため仕方がない。
思い立ったら、即行動。
藤堂は足早に山崎のもとへ向かった。
医者としてまた新たな一歩を踏み出したらしい山崎を、良く屋敷内で見る様になった。
――厄介だなぁ
屋敷内と言うことは、二人の接触は増える。
そうなると、山崎があの人に歯止めが効かなくなるのも時間の問題。
――男は獣だもの
「本当に厄介」
がらりと開けた障子の向こう側に、書物を読み老けている山崎の姿があった。
突然の事にも動じず、顔すらも向けないで視線だけを送ってくる。
「開けて第一声がそれですか。俺にどうしろと?」
その態度がいっそう清々しい。
「あー…うん。消えて?」
「いきなり何を…まぁ、あなたの唐突な発言には慣れましたが」
「山崎のくせに生意気な!」
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