一章

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      「……言っていないので…」 「はぁ?俺に喧嘩売ってるわけ?そう言うことはすぐに言えよ」 気まぐれな藤堂を止める術はなく、山崎は永遠と藤堂の愚痴を聞かされるしかない。 「みっちゃんを想ってる奴は、お前一人じゃないの。でもだからと言って、みんなで共有する訳じゃないんだし、男なら男らしく堂々と捕まえとけよ。俺みたいにさ…って聞いてる?」 藤堂は書物に戻そうとした山崎の顔を両手でつかみ、自分のほうへ向けた。 比較的驚いていない山崎だが、迷惑そうだ。 「て言うかだいたい、みっちゃん独り占めして何してんの?いかがわしい事してないよね?してたら微塵に切り刻んで、五条川に流してやるから」 ばちんと山崎の頬を軽くはたいた。 ほんのりと赤らんでいる。 「………手伝いをしてもらっているだけです。」 「は?それだけ?」 「それだけです」 「本当にほんと?」 「本当です」 「…ふーん。まぁいいや。」
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