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辺りは薄暗くなり、雨がぽつりぽつりと当たり始めた。
雨と土の匂いがかすかにする。
――嫌な匂い……
昔の小さな自分が思い浮ぶ。
あの時も雨と土が混ざり合った匂いがしていた。
震える自分は何もできない。
嫌な予感がした。
昔を思い出すなんて、良くない事が起こる前触れに違いない。
薬草の調達や買い出しやらを終え、帰路についていたみつ。
雲行きが怪しいのに気が付き、足早に屯所を目指した。
門前が見えると、駆け足で軒下に滑り込む。
途端、雨が激しく降り出した。
「間に合って良かった」
胸を撫で下ろしたみつだが、ふと前を見ると、そこにはずぶ濡れになった藤堂の姿があった。
「藤堂さん?」
みつの呼び声に反応がなく、ふらふらと近付いてくる。
明らかに様子がおかしい。
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