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ふらり、ふらり。
視線を下へやり、顔には生気が見当たらない。
きっと、また何かあったのだ。
藤堂の心を揺らがせる何かが。
藤堂は本当は弱い。
へらへらして隠しているだけで、本当は弱い。
「藤堂さん?濡れてしまいますよ」
その問い掛けにも俯いたまま、藤堂はみつの前まで来ると立ち止まった。
「何があったんですか?こんな酷い姿。原田さんと喧嘩でも…」
みつがそう言って藤堂の肩に手を伸ばそうとするが、それは一瞬にして大きな手に捕まえられる。
そしてそのまま体ごと引き寄せられた。
手に持っていた買い物の品が落ちる音が雨に紛れて響く。
「…………じゃない」
今にも消えていきそうな小さな声。
「そんなんじゃない」
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