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「後、よろしく」
先に沈黙を破ったのは藤堂だった。
一言放つと、みつを山崎に押し付け立ち去ろうとする。
山崎は慌てて言葉を絞り出した。
「まっ待ってください!これはどう言う事ですか!?」
珍しく声を張り上げているのが自分でも分かる。
何故だろう。
みつが気を失っていたから?
藤堂がびしょ濡れだから?
それとも…
―藤堂がみつを抱き抱えていたから?
「壊す事しかできないんだ」
いつもと違う声に違和感を感じた。
そして意味深な言葉。
こんな藤堂は見た事がない。
「あのさ、最後にお願いしてもいい?」
背を向けたまま続ける。
「…みっちゃんにごめん、って謝っといて。俺もう、会えないから」
そう言って去る藤堂に、声を掛けることは出来なかった。
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