一章

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足が痛い 息が苦しい 着物がうっとうしい この時ばかりは自分を美しく見せてくれる着物が嫌になる。 唇にひいた紅や、髪を結う時に使った椿油なんてすでにとれていた。 どうしてこうなったか…なんて今さら思い出せない “忍”としてどこを踏み違えたのか… 分らない ただ言える事は… 逃げ切らなくては…――死ぬ と言うことだけ こんな奴等の前では死にたくない こんな下衆な奴等の前で… 考えるだけで反吐が出る
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