―任侠の徒―

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「忠義、慧と兄弟の盃とは、恐れ入ったな!」 「大吾と慧が親子の盃を交わしたんだ。 慧が俺の舎弟なら、俺は、いい気分で大吾をオヤジと呼べるってもんよ(笑)」 今は、部屋に二人だけしか居ない。 無論、第三者のいる所で、この様な会話は有り得ない。 表向きは、大吾と忠義は、先代から共に盃を貰いあった同志であり、正に、今の慧と稔の様な間柄であった。 他人の聞き耳の無い今は、只の幼なじみなのだった。 分裂を繰り返し、どんどん勢力と、ブランド名をあげて行くピラミッドを率いる組長の安らげる一時は そんな、僅かな時間しか無いのかもしれない。
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