―死の尊厳―

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鶴田さんの言っている事は、わかる。 わかるけれど…理解出来ない。 割り切れない。 他の人になら、私も同じ言葉がかけられるのかもしれないけれど 綺麗事の偽善…そう思ってしまう…… そんな…幼い自分の感覚にも 腹がたつ。頭に来る。 理屈じゃないの、 ママに生きていて欲しいだけ 一人になるのが、怖くって 寂しくって…悲しくって 鶴田さんは、私を一人にしてくれた。 今は、一人に成りたかったから 鶴田さんの配慮は、有り難かった。 部屋の隅っこに 小さな塊みたいな格好になって、崩れるみたいにしゃがみ込んだ。 声を殺して…泣いた。
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