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黒龍本体がある神殿の開けた場所。黒髪と蒼い瞳が薄く光っていた。
「まさかお前にそんな呪いがかかっていたとはね。しかも呪いを利用して私の支配下から抜け出すなんて、思ってもみなかったわ」
青い衣に身を包んだ朝城樟葉は鎖が何重にも巻かれた一本の柱に視線を向けた。
返事はなく、じゃら……、と鎖が微かに揺れる音だけが帰ってきた。
「次はだんまりなの?本当に駄目な存在ね。無駄で無価値で不毛な存在。どうしてお祖父様は貴方を早々と処分しなかったのかしらね」
「……涼恭は、そんなんじゃない……よ」
黒龍の腹部に半ば取り込まれた状態のサリアがキツく樟葉を睨んだ。
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