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「そうですか。遥一様も涼恭様がどちらへ行かれたかお知りではありませんか」
「リョウからこっちに何の連絡もなくて。お役に立てずすみません」
「いえ」
赤み掛かった髪に紅い瞳メイド服を完全に着熟したメイド紅楓は燕尾服に身を包む涼恭唯一の親友支倉遥一に軽く礼してから涼恭がバイトしていた喫茶店『蒼き白夜』を出た。
どことなくしょんぼりとした様子で帰っていく楓を遥一は見えなくなるまで見送ってから店内へと戻った。
入ると同時に話し掛けてくる人が。
「おーい、遥一ぃ~。まぁた女かぁ~?」
「少し黙ってなよお客さん。キミはこっちで名前出すつもりないんだから」
「楓さんは涼恭くんのメイドさん。行方不明の涼恭くんを捜し回ってるのよ」
カウンターの向こう側から『蒼き白夜』店主優里さんが補足する。
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