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「儂は貴様のような見知らぬ者に従うほど安くないわ。いっそのこと儂を殺せ」
『それじゃあ、困るから迎えに来たのよ。お父様♪』
仮面の男から女性の声が響く。
それは高弦が自らの全てを投げ打ってでも求めていたものそのものだった。
いくつもの手段を試しに試し、確実に成せたはずの方法すら自らの孫に阻まれた。
もう絶えたと思い、全てを諦めていた高弦を再びそちらの世界へ舞い戻らせるには十分過ぎる“餌”だった。
「儂をまたそう呼んでくれるのか……?」
『ええ、何度でも呼びます。だから、一緒に行きましょ、お父様』
差し出された右手を高弦は考える間もなく掴んだ。
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