夏と休みと特訓と……

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けれど、幾ら頑張れども貴方様が心から笑ってくれることはありませんでした。 まるで本当の笑顔の作り方を忘れてしまったかのように、いつも浮かべるのは作った笑顔。 偽物の笑顔でした。 高校にお入りになる少し前辺りでは全ての感情が偽りをさらに偽ったような空虚なものだけになっていらしました。 時折、私との会話やサリア様との会話で本物に近いものを見たことがありましたが、やはり本物に近いだけ。それだけでした。 私は何かの切っ掛けになれればと、無礼を承知にとある高校への進学を涼恭様に勧めました。 その高校こそが『櫻都彩陽学園』でした。
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