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黒い縁に赤の門。それを囲うように巻き付けられた黄色い鎖。縁の上部にはギョロッとした目が一つ。
不気味な門が鎮座していた。
「涼ちゃん、相当頑張ったんだね……。他人が通れるほどの門を作るなんて」
アリスが門を見てポツリと一つ。だが、それはあまりにも小さく誰にも聞こえることはなかった。
『力を示せ。それが道を切り開く鍵となる』
録音された涼恭の声が門から発せられた。
「兄貴め、未だにこいつらが諦めることに懸けてるのかよ」
「主人、みんな……大事」
上部の目が辺りを見回すように動き、門は一唸り上げた。
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