変わった世界

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「ところで、本当に心当たりがないのか遥一?」 「まあ、ないこともないんだけどね」 遥一はそう曖昧に答えてからモップを持ち、掃除を再開する。 やはりかなり手慣れた様子でてきぱきとこなしていく。 「それなら楓さんに教えてあげなくてよかったの?」 「教えてあげるべきことと教えないほうがいいことぐらい弁えているつもりです。きっと楓さんは大丈夫ですよ。 ──まだ、俺と違って大切なものを失っていないから……」 軽く笑うがそれは苦笑。頭に浮かべているものはもちろん遥一にしかわからない。 「遥一くんにもまだ大切なものはたくさんあるわよ」 「ありがとうございます」
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