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神殿の中、そこは不思議な空気に包まれていた。
表立っては何もないが、そこにいる人物らの行動が僅かに違和感を与える程度のいつもとの差がそこにあった。
黒のローブで頭まですっぽりと覆った小柄な人物が神殿の中央の蒼い衣に身を包んだ女性へ駆け寄る。
「樟葉様、侵入者」
「わかってるわよ」
蒼い衣の女性……朝城樟葉は指を鳴らした。
ザッと黒ローブを纏った人影が八人ほど樟葉の前に現れ、膝を折り、頭を下げた。
「ようやく貴方達の出番よ。私の命令を果たしてきなさい」
音もなく、黒ローブ達は消えた。
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