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「とーちゃく」
ネルビも門を越えてくる。その姿はやはりモザイクがかけられたように輪郭が曖昧で、不確かなものだった。
よく周りを見回せばアリスも同じようにぼやけている。だが、暗闇の中でぶれていようともその鮮やかな桃色の髪は栄えていた。
「俺らみたいに存在が確かじゃない奴らはこの辺で一回こうなっちまうんだよ」
「ここが本来来られない場所だから余計にね。ここさえ抜ければ元に戻って、いつも通り。心配無用」
「仮にも天使の端くれたる依頼主に心配も何もないだろう。そこらにでも捨て置け」
鼻で笑い、ディルクは不敵に笑みを作った。
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