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暫く歩いたところで一気に視界が光に包まれた。
「ここから……黄泉の、世界」
白い地面に蒼い花が咲き、紅い空に黒い月が煌めいていた。
不気味ではあるが、神聖で触れがたいイメージを与える不思議な光景だった。
「綺麗な花だね」
霞弥がしゃがみ込んで蒼い花に手を触れさせながら言い掛ける。
そこへ普段通り無表情なネルビが近づいていった。姿ははっきりとしたいつもの姿に戻っていた。
「その花……『血弁華(ケツベンカ)』、言う。……血を吸って、相反する、蒼……い花咲かせる」
「へぇ~──って、怖ッ!」
やや大袈裟にバッと跳び退いた。
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