最終決戦・序

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大量の黒い羽がどこからともなく現れ、視界を埋めていく。 ただでさえ『悲嘆の合唱』を食らい、ぐらつく黒ローブの視界は八割方が黒い羽に包まれていた。そんな中、黒ローブは不気味なほどに禍々しく煌めく紅い瞳を見た。 「我が目は『邪幻眸(ジャゲンホウ)』。幻覚を司り、幻術を繰り、見抜き、幻に呪われた瞳。この目にかかれば、幻術の昇華など容易い」 パチンと指を鳴らす。 黒ローブの視界からディルクは完全に消え去った。 「第一、幾ら昇華させたとは言え、『悲嘆の合唱』などという幻覚を物理的衝撃に感じさせる幻術を食らう時点でお前は三流だ。幻術を語る資格もない」 ディルクの視線はどこか別のところを見ているようだった。
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