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その瞬間、黒ローブの身体の背部に幾つも痛みが奔り、地面を転がった。
さらに追い討ちとして鈍く光るものが投擲される。
流石に受けまいと黒ローブは痛みを堪え、それを弾く。
そして、先ほどまで自分がいた場所を睨む。
だが、
「──誰もいない……?」
確かにそこには誰かがいたはずだった。しかし、そこには人どころか他の生き物も魔力の痕跡すら見受けられない。
元よりこの黄泉の世界には生者か死者、人しか存在しないのだが。
「そんなところにいるわけないだろう?」
再び後方から、しかも耳元で囁けるような距離から声が。
だが、案の定振り返っても誰もいなかった。
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