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そして、唱えた。
「──過去は変わらぬ。
──未来は選べぬ。
──刻は動かない。
──そこには後悔と絶望以外在りはしない。
──故に人は渇望する。
──来ぬと理解しつつも待ち焦がれる。
──幻想(ユメ)と知りつつ浸り、溺れる。
──そこに現実は存在しない。
──全てがそれを否定しているのだから……」
ここで黒ローブは全てを悟った。悟ってしまった。
もう自身に未来(サキ)がないことを。
「永久の悪夢(シアワセ)に呑まれよ『愚かな幸夢』」
いきなり目の前に現れたディルクに黒ローブは頭を右手で掴まれた。
もう二度と黒ローブは鼓動どころか、動くことはなかった。
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