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それは一歩も動かず、目的が現れるのをただただ待っていた。
──片目の白い仮面を付けた人物が神殿の目の前に佇んでいた。
仮面から覗く金の瞳は何を見ているのか掴ませないが、何を見ているのは確かだった。
その身体を支配するのは無感情。
無理矢理何もかもを抑え込んでいるからこその状態である。
一度何かに気が寄れば、その身体の支配権は神殿内で機会を探っているそいつに戻ってしまうだろう。
最大限の抗いが自身の全てを放棄することだとは、彼自身としても嘲笑ものだった。
仮面はそれを待っている。
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