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「──あ。主人の剣が──」
「──間に合わないっ」
右側の黒き刃は掴むことに間に合ったが、もう一つの左側から襲う黒き刃には間に合わなかった。
飛鳥は本能的に目を瞑り、衝撃に備える。──が、衝撃は一向に襲ってこない。
目を開けるとそこでは──
「え?」
黒塗りの剣が『全魔闇裂聖』の破片を受けとめていた。……いや、正確には、立体化した飛鳥の影が黒塗りの剣を掴んで受けとめていた。
影は揺らぎ、飛鳥の形ではなく、えらく不確かな人型になる。
『堕ちたな叶……』
そんなどこか聞き覚えのある声を残して、影は崩れ去り、剣も地面へ落ちた。
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