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「オルゴール、め……」
憎たらしそうな呟きと共に床に転がったのは顔のない人型だった。
本来顔のある部分には不気味に虚空がただそこにあるだけで、その他は今の涼恭と同じ姿形をしている。
顔以外をコピーしている、というのが一番的確だろう。
「樟葉様……」
「っ"あ"ぁっ!!」
樟葉は腹部に突き刺さる氷刀を抜き取り、握り潰した。破片は魔力へと散り果てた。
それに対し、涼恭は胸に氷刀を貫かせたまま、その周辺を凍てつかせ、余計な部分を圧し折った。
否、今氷刀を抜けばどうなるかは見えている。
いくら死がなかろうと暫くは動けなくなってしまう。それだけはするわけにはいかない。
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