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「こんなところか」
瞳の光が小さくなり、淡く光を放つ程度となる。
しかし、それと同時に涼恭は突然口元を右手で押さえた。
「やはり無理があるか」
つぅー、と手で隠した口元から赤い血が流れた。だが、それと相反するかのように涼恭の口は笑みを取っていた。
口元から顎先へと伸びる血の道筋を右手の甲で拭う。
「ネルビ、剣を」
「了、解」
飛鳥を守った際に地面に転がり、そのまま放置されていた紅い石の付いた黒い剣が涼恭の右手に納まった。
「まさか逃げるなんて言う愚かなことはしないだろうな?」
切っ先を樟葉へ向けた。
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