最終決戦・追

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腹部の傷口を塞ぎに掛かりながら樟葉はほくそ笑む。 「安い挑発ね」 「だが、逃げれば事実に変わりない。それにそれを否定する人物もいまい」 紅の石が脈動を一つ上げる。 忌々しそうに樟葉は舌打ちをした。 「兄さん」 叶が目を蒼く光らせながら歩み寄る。 それに涼恭は視線すら向けず「なんだ」と訊ねる。 「兄さんはまた僕らを試していたの?」 「どう思うか自由だ。しかし、今回俺は本当につい先程まではほとんど身動きが取れなかったことは事実だ」 「──なら、僕は兄さんを敵と見なすよ」 叶はいきなり蒼剣を振るった。
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