最終決戦・追

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トッ、と地面を蹴る音が一つ。 「──退け」 ただその一言。 気が付けば、涼恭はすでに叶の横を通り過ぎており、どうされたのかわからないまま、叶は柱の並ぶ壁の方へと弾き飛ばされていた。 「まだだッ」 吹き飛ばされながらも身を翻し、魔力で空中に空気を圧し固めた足場を蹴って涼恭を追う。 蒼翼が空間を叩き、加速する。 「『魔王』……動きなさい」 樟葉の眼前へと迫った涼恭がバッと左へと跳ぶ。 鈍く輝く黒い鱗に包まれた尾のようなものがその場を打ち、見るも無惨に床を砕いた。 空間が歪みだした。
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