二つの英雄伝†対極のイマージュ

変わっていく『スベテ』

なんと声を掛ければいいか、飛鳥が迷っている間に修練室の扉が開いた。

「限界超えぬ者に先なし。超えた先にこそ、掴める宝にも優る全てを手に入れらん」

「お父様……」

「やあ、頑張ってるかい？」

扉を開き、中へと入ってきたのは飛鳥の父、夜霧家現当主の夜霧宮麻。ギルド東支部の支部長をしている。

宮麻は微笑を貼りつけた裏を見せない表情で歩いてくる。

「お父様、こんな時間に来て、仕事のほうはサボってきたの？」

「お、いきなり痛いですねぇ～。まあ、今回はきちんと終わらせてから来たのでサボってはいませんよ」

ハハハ、と笑いながら宮麻は深矢らのほうへと視線を向けた。