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しかし、幾ら断ち切ろうが、幾ら葬ろうが、前に進んでいる気がしない。
確かに進んでいるのに、全く叶の兄、朝城涼恭に近付いている気がしない。
感情に身体が踊らされる。瞳が蒼く輝きながら、瞳孔部分だけは違う色……黒曜石のような黒い煌めきを放っていた。
その目は朝城の者だけに発現する本来蒼く輝く魔の瞳『アカシック・ゼロ』。黒い煌めき即ち全く別の何かということになる。
「魔剣─神殺の刹那─」
紅い蒼剣を白い閃光が包み込む。そして、光が頂点に達したところで地面と平行に振るう。
放たれた白き斬撃は敵を呑み込むことなく突き進み、敵“全体”を切り裂いてから、敵を死骸一つ残さずに全て飲み込んだ。
残ったのは魔力の残り火と戦いの残した傷跡だけだった。
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