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「おっせぇなぁ、夜霧も神前も」
濃い紺色の浴衣に身を包んだ深矢が腕を組んで、待ち合わせ場所である彩陽神社の鳥居の下で佇んでいた。
右手には「祭」と赤い文字で書かれたうちわ。念には念を、と財布には多めに金も入れてきた。
何せ今回は若干理不尽な女性しかいないのだ。
全ての代金を払わされかねない。
途中でなくなってみでもすれば待っているのは──
「…………ブルブルブル」
そこまで考えたところで身体が1人でに震えていた。
──まあ、気分転換で来てんだ。一番気負いしている夜霧になら奢ってやってもいいか。
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