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「そうそう聞いてよ深矢くん」
「ん?」
「私達、ここに来るまでに五回もナンパされちゃった」
なぜか誇らしげに言う霞弥から目を外し、もたれかかっていた鳥居から背を放つ。
ため息と共に深矢が思ったことはただ一つ。
(ナンパしたのもどうかと思うけど、ナンパしたヤツらも可哀相だな……)
「どうしたの?同情みたいな感情が込められた視線を空に向けて」
「いーや、なんもねぇよ」
そう平然を装いつつうちわで数回自身を扇ぐ。人混み特有の人による熱気が少し晴れたような気がする。
深矢と霞弥が話している間、飛鳥はキョロキョロと周りを見回していた。
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