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おそらく全力疾走で来たのだろう。叶の着崩れた浴衣をきちんと整えながら紗耶香は叶を怪訝な目付きで見た。
「えらく出来過ぎた理由だな」
「う、嘘じゃないよ!?た、確かに、浴衣を出したり着たりするのにも時間がかかっちゃったから、遅れた原因はそれだけじゃないんだけど……」
しどろもどろ訂正を入れる叶に紗耶香はクスリと笑みを漏らす。
それを見て、ようやく叶は自分がからかわれていたことに気付き、少々頬を赤くした。
「二時間前に私が突然言い出し、それに付き合ってもらうのだ。少しは大目に見る」
笑って言った紗耶香は出店のほうへと歩いていく。叶もそれに付いていった。
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