夏と休みと特訓と……

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       * オルゴールはすでに響かない。 だが、俺の出来ることは済ませた。あとはあいつ次第。 こんな汚れ役を負わせるのは心が痛むが、もうそんなことを言ってられる余裕はない。 あとは俺がいつまで保つか。 『ドウヤッタカハ知ランガ、ソンナトコロニイタノカ』 脳髄を揺らすような頭痛と共に聞きたくもない嫌な声が響いた。 『マア、良イ。コレモ何カノ運ダロウ。 ──アル意味好都合ダ。ソノ身、明ケ渡シテモラウゾ』 「っ──く……ぐ……ぅ……」 身体が侵食されていく。全てが呑まれていく。 ──もう、俺は残っていない。
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