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「え~、ですからぁ、学生である君たちは学生らしい夏休みを送ることを~」
一学期終了の終業式。体育館で行われているそれを飛鳥らは、聞き流す程度にぼんやりと消化していた。
叶は立ちながら腕を組んで眠っていた。器用なものである。
誰一人まともに聞いている者はいないだろう。職員らもそれは理解しているのか、生徒らを軽く見ているだけで何をしていようが特に注意も何もなかった。
「ホント、暑ぃし、眠ぃな」
顔の横で手をパタパタさせながら怠そうに天井を仰ぐのは若干茶味掛かった髪の少年藤堂深矢。
「確かに、これは暑いし眠いな」
「私もこれは怒れないね。はわあぁぁぁ~……」
それに返したのは久方振りの登場彩陽の不良のトップ猪原轟と欠伸を浮かべた神前霞弥。
深矢、轟、霞弥の三人も気が抜け切った様子でこんな調子である。
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