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「さて、我が身成りえるかどうか確かめさせてもらうぞ」
不可解な言葉と共に仮面の男が氷の刀を振りかぶり、駆け出した。
目標は仮面の男を見据えていた叶、ただ一人。
「雪月華」
横一文字に一線。避けることなど容易い。
だが、何かが叶の脳内で引っ掛かる。片隅で僅かに感じる程度だが、叶はそれに従い、大きく後方に跳んで回避運動を取る。
それは正解だった。
「ッ──!」
浴衣の胸元に横へと切り込みが入り、そこから見える肌から鮮血が流れ出た。
もしも後ろへ跳ばなければどうなっていたか。言わずとも知れている。
おそらく身体が二つに別れていただろう。
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