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そんな気の抜けた空気の中で朝城に肩を並べる四大貴族夜霧家次期当主夜霧飛鳥は一人考え事をしていた。もちろん内容は消えた涼恭のこと。
叶と戦い、最後は圧倒的な力の差を見せ付けて勝利してみせた涼恭は逃げるように飛び去り、その後完全に姿を消した。
夜霧の力を使い、調査も行ってはみたが返ってきたのは“消息不明”とだけ。全く成果は得られなかった。
ここまで何の痕跡も辿れないとなると、最悪の可能性も考えなければならないとも報告があった。
だが、涼恭がそう易々と死ぬわけがない。
第一、天使は簡単には死なない。死にたくても死ねないと言っていた。
艶やかな黒髪を揺らし、澄んだ綺麗な濃い紫の瞳を天井へと仰がせた。
(どこにいるのよ、涼恭……)
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