覚えている限りの最初。

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福岡の祖父母の家で、私は必ず誰かと行動を共にした。 子供ながらに、恐怖で動けなくなるような感覚になっていたからだ。 * あの家の一階には洋間がある。 暖かい日の光が存分に入る洋間。 母のアップライトピアノがあり、その上の壁に二枚の面が飾ってあった。 おかめのお面と、翁のお面。 私はその面がものすごく怖かった。 いや、その面ではなく、その面の目を通して覗いてくる何かがものすごく怖かった。 わからないけれど、確かに何かが私を見てくるのだ。 射殺すような目というのは、あぁいうのの事を言うのかもしれない。 今でも、奥歯がガタガタと震えてくる・・・。
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