高校受験

2/4
前へ
/142ページ
次へ
 中学3年の1学期の終わり。    窓を開けても風も入ってこないうだる暑さに、その少年は『今日の部活は死にそうや』とばかり考えていたHRでその紙は配られた。    その紙の内容に前の席から私語の小波が教室に広がっていく。    窓際の列、後ろから2番目の席の男子生徒が、その紙を見ながら後ろの少年に話しはじめた。   「なあ、学。お前バスケのスポーツ推薦の話あんねやろ?ええなぁ、受験なしかよ」   「別に。スポーツ推薦なんか受ける気なんかサラサラないけど。バスケは中学で辞める気やし、男子校なんかありえへんし」    それが、その少年(武藤学(むとう まなぶ))のこの時の本音だった。    その選択が、彼の人生の初めての大きな分岐点とは、15才の少年には、想像出来ていなかった。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1180人が本棚に入れています
本棚に追加